離婚を考える前に知っておきたい
フロリダ州の離婚に関する法律
パート2

タンパベイエリアで
Family Lawの弁護士をなさっている
ケイト上田さんのご投稿が続きます。
ケイトさん、お忙しい中、
キーライムのために時間をさいて
ご寄稿くださり、
有難うございます。
* * * * *
無過失離婚(No Fault Divorce)
フロリダ州は無過失離婚を認めているため、
当事者は相手方の過失を証明することなく、
和解し難い不和(Irreconcilable Differences)があると
婚姻の解消ができます。
ですので、離婚に同意したくない、
もしくは和解し難い不和が生じたのは
相手側に非があると反論しても、
離婚そのものを止めることはできません。
(次は1月号の続きです)
ステップ4
当事者間で、
または弁護士を介して離婚協議を進めてきたけれど
どうしても合意に至らなかった場合は裁判離婚になります。
この段階に来ると、
既に弁護士を決められているでしょうが、
改めて 費用の支払い方法やタイミング、
また裁判所に支払う経費を弁護士と確認し、
一か月ごとの予算を組む必要があるでしょう。
また、離婚訴訟の間、
すべて弁護士に任せっきりというのも問題ですが、
裁判に全くと言っていいほど必要でない情報、
例えば相手に対する怒りや不信感を
弁護士に愚痴るのも問題です。
弁護士との関係の中で、
この匙加減が依頼者にとって一番難しいでしょう。
また事務所のサポート体制をうまく利用するのも大事です。
弁護士は一日の大半を法廷で過ごすので、
事務所で電話サポートができるのはパラリーガルです。
パラリーガルの時間報酬は弁護士ほど高くないので、
パラリーガルの責任範囲内の質問であれば
答えてもらえますので良好な関係を築くことで、
費用も抑えられます。
裁判が始まると、
訴訟夫婦共有の資産、負債、収入などの情報を
弁護士を通して双方が開示し、
財産分与、Alimony、親権、養育費について
話し合いを進めます。
合意できれば離婚合意書(Marital Settlement Agreement)を
裁判所に提出します。
合意できない場合、
その部分が裁判となります。
別居する場合、
自宅に残りたくても相手が譲らない場合は
やむを得ず引っ越す必要もあるでしょう。
たとえ、相手が出ていっても、
離婚手続終了まで、
自宅のモゲージやインフラの費用も
原則、半分負担となります。
自宅のモゲージや公共料金の支払いが
相手方の銀行口座から自動振替になっている場合、
相手が家を出た後、
自動振替を意図的に止めることもありますので、
弁護士に相談して経済的ダウンフォールを防ぎましょう。
別居中、自身の収入だけでは生活が回らない場合は
Temporary Alimony と呼ばれる
一時的扶養料や養育費の支払いを
相手に求める請求を
裁判所に提出することもできます。
離婚係争中にIRSへ所得申告する場合、
夫婦ジョイントか、別に申告するか、
また別申告する場合どちらが子供を扶養家族とするか、
戻ってきたTaxをどのように分けるかも
決めておく必要もあるでしょう。
親権 (Child Custody) と 訪問権 (Timeshare)
日本では離婚後は
父母のどちらか一方が親権を持つ単独親権となりますが、
フロリダでは、父親と母親が共同親権者となります。
子供が両方の親と過ごすのが
THE BEST INTEREST OF THE CHILD,
子供の最善の利益と考えられるからです。
未成年の子供が
離婚裁判でどちらの親と同居したいかなどと
証言は出来ませんので、
両親がよく話し合うことが最重要です。
両親が協力的であれば
タイムシエア(子供と過ごす時間の割合)を組みやすいですが、
合意ができなかった場合、
mediation を行うか、裁判所が介入します。
たとえ、子供の養育や教育など
相手の能力や資質に問題があったとしても、
裁判所は一方の親を子供との関係から
排除することには消極的です。
薬物やアルコール依存症、虐待があった場合でも、
監視付きの面会交流の権利が与えられます。
訪問権に関しては
相手方に新しい交際相手が出来、
子供が相手と過ごす場所に同居していたり、
そこで新しく子供が生まれたため、
自分の子が優先されなくなったりなど、
非常にデリケートな問題が発生しやすいです。
それを楯に相手の面接権に過度な制限を加えようとすると、
これもまた、裁判を長引かせる原因となります。
心理的に困難でしょうが、
子供の最善の利益のために
冷静な態度で対処する必要があります。
また裁判管轄権外への子供の連れ出しには、
裁判所からの事前の許可を必要とします。
転職などで引っ越しをする際には、
たとえ相手の合意があっても、
紛争のリスクを抑えるため、
詳細にわたり文書化しておくことです。
特に両親のどちらかに、
他州や他国とのつながりがある場合、
子供を連れ去る危険が大とみられます。
裁判所命令に違反し、子供を連れ出した場合、
裁判所は連れ出した親にジェイルへの収監を命じたり、
刑法上の誘拐罪に問うこともあります。
特に日本は、
子供は母親に帰属するという意識がまだ根強くあり、
子ども連れで日本に永久帰国を希望される方もありますが、
これは相手の面接権の行使を拒否、
妨害するものとみなされます。
日本は2014年、ハーグ条約に加盟しましたので、
相手の同意なく、
国境を越えて16歳未満の子どもが連れ去られた場合は、
双方の国が協力して
元の居住地に戻す手続きが取られるようになりました。
* * * * *
ケイトさんの記事のパート3は
3月号に続きます ☺️
ご投稿:上田ケイトさん