2025年8月特集 塩の話 パート2


7月号に引き続き塩についてのレポートです。

今月号では良い塩、悪い塩、日米の塩事情、
そしてレポートしながらも
不思議に思った事などなどについてまとめてみました。

* * * * * *

塩の味を決めるもの

塩の味を決める「ルール」には、
塩に関わる2つの要素が大きく関係しています。
それは「粒の大きさ」と「にがりの量」です。

一般的に、粒の大きい塩ほどまろやかな味がします。

細かい粒は口の中で素早くたくさん溶けるため
塩味を強く感じ、
大きな粒は口の中でゆっくり少しずつ溶けるので
まろやかに感じるのです。

概して「にがり」の量が多い塩ほど、
直接的な塩味から遠ざかり、
複雑さやコクが出てきます。

にがりとは、
海塩(海水から造る塩)の製造過程でできる液体のことで、
マグネシウムやカリウムといった無機物、
ミネラル成分をたくさん含んでいます。

にがりのミネラル成分にはそれぞれ味の特徴があり、
例えば塩化マグネシウムや塩化カリウムは
苦味を感じさせます。

これらのミネラルの味によって
塩の鹹味(かんみ=塩辛い味や食物のこと)が抑えられ、
複雑な味が生まれるわけになります。

2つのルールをご覧になって、
塩の味と製法や原料が
あまり味とは関係ないのが意外です。

たとえば岩塩の味がまろやかなのは
粒が大きいからで、
細かいサラサラの岩塩ではそういう味はしません。

にがりの量に関しても、
単純に「この製法だから多い」ということは
いえないのが実状のようです。

よく無い塩 (精製塩または食塩・Refined Salt)

食塩(精製塩)は大量生産を目的に
海水を電気分解して作られる精製塩のことで、
成分の99%以上は塩化ナトリウム(NaCl)で、
海水のミネラルバランスを
人口的に壊して作られた工業製品です。

塩分濃度が高く(99%以上)、
舐めると塩辛い味しかしないのが特徴です。

ナトリウム以外のミネラルがほぼ含まれていない
この精製塩を体内に取り込むほど、
体内のミネラルバランスは崩れます。
そのため精製塩に限っては「塩分摂りすぎ注意」です。

精製塩の取り過ぎが
血管や内臓の機能を衰えさせ、
体調不良を引き起こし、
やがて病気へと繋がると言われています。

塩の見分け方(日本の場合)

身体に良い摂るべき塩を見分けるためには、
パッケージの製造方法を確認する事が重要です。

1)ミネラルの豊富な天然塩は
「天日干し」もしくは「平釜」という製法で作られています。
成分表を確認すると、
ナトリウム以外の成分も含まれています。
こうした製法で作られた海塩がお勧めです。

2)精製塩は「イオン交換膜」
もしくは「立釜」という製法で作られており、
成分表にはナトリウム以外の成分は0mgと表記されています。

3)「溶解」という製法で作られた
再生加工塩という種類の塩も存在します。
これは海外から輸入した塩化ナトリウムに、
海水やにがりを足してミネラル成分を調整した塩です。
精製塩よりはましですが、ミネラル量は少ない塩です。

4)岩塩にもミネラルは含まれますが、
海塩と比べると
こちらもまた量が少ないものが多いです。

5)「公正マーク」が付いた塩を選びましょう。

アメリカで健康に良いとされる塩

IODIZED SALT(ヨウ素(ヨード)添加食塩)

一般的に健康的な塩の一つと考えられています。

これは、食事で不足しがちな
必須栄養素である
ヨウ素が含まれているためです。

ヨウ素は、
代謝を調節する甲状腺ホルモンの生成に不可欠であり、
特に妊娠中および乳児期の脳と骨の発達に不可欠。

ヨウ素添加塩は、
深刻な健康被害をもたらす可能性のある
ヨウ素欠乏症を予防する安全で効果的な方法です。

ユニセフによると
世界総人口のほぼ3割に当たる約16億人が、
ヨウ素欠乏症の危険にさらされているそうです。

注:日本人はヨウ素を含む海藻類をよく食べますので
ヨウ素の摂取不足から起こる病気にかかる心配はありません。
なお、ヨウ素(ヨウ化物)は
日本では食品添加物として認められていませんので、
国内で生産、販売される食用塩に添加すること、
添加された食用塩を輸入することは禁止されています。

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このあとは9月号特集に続きます。

ページ担当:ハインズのり子

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