英語にないはずの女性名詞、男性名詞
英語には女性名詞や男性名詞がないはずなのですが、物を「She」または「He」と呼ぶのを聞いたことがあるはず。ネイティブに聞いても「小さい時からそう呼んでいるから気にしたことがない」という答え。確かに、日本語でも、「母艦」「姉妹船」「兄弟船(これは鳥羽一郎の歌だけど)」「母校」「姉妹都市」「母国語」、考え出せばきりがありません。なので、ちょっと検索してみました。
一般的に「人」を語る場合は、He や Man を使います。
He who says he knows doesn’t know
知っていると主張する者ほど、何も知らない
All men are created equal
すべての人は平等に創造された
米語圏の習慣の流れを見てみると、男性とか女性とか、ことさらに性別を区別するのはおかしいということで、性別をぼかすことも。
「取締役」「ニュース番組のアンカー」「セールスマン」「スポークスマン」といった単語は、語尾に男性を表す man が付きますね。一時期は、会長、ニュースアンカー、セールスマンを、語尾の
~ man を ~ personに入れ替えて、chairperson、anchorperson、salesperson と表現することも多くなりました。
男女を区別する職業も、「ウェイター」waiter と「ウェイトレス」waitress の場合は、「給仕担当者」server で統一し、「男優」の actor と「女優」の actress は、「俳優」を表す actor で統一するといった、ニュートラルな呼び名があります。
「地球」「月」「国家」「船」「車」などは、女性形の She で表現されることが多いわけですが、最近では、国家は男性でも女性でもない
it で表されることが多くなった気がします。そんな中、車や船は、いまだに She のままです。
That was her maiden voyage.
それが船の処女航海だった
なぜ艦船が英語で女性なのかは、諸説あります。 1.waist(中部甲板・腰)とstay(支柱索・頼りにする男)とを持っている。 2.見栄えをよくするために多量のペイント(紅・白粉)をかけて、いつも飾り立てておかなくてはならない。 3.男衆が付きまとい乗っている。
ヨーロッパ系言語の名詞は形態が男性名詞・女性名詞、またはドイツ語のように中性名詞まで存在する言葉がほとんど。英国とドイツを舞台にしたスパイ小説である男性が月を見て「彼(=月)は美しい」と言ったことで、ドイツのスパイであることがばれたなんて話も。
常に変化を遂げる言葉、トランジェスターの方をかたくなに He と呼ぶか、素直に
She と呼ぶかはあなた次第。
(キルゴ亜矢)