送り人2024年 パート2
先月号に続いて、
米国での葬儀関係の情報を記します。
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荼毘の付し方の違い
火葬一つをとっても、
日本とアメリカのやり方は随分違います。
日本のようにお骨を拾うのも難しいかもしれませんし、
最後は粉末状に砕いてしまうので、
お骨の状態のまま壷におさめたい時は
予め希望を説明しなくてはいけないかもしれません。
アメリカ出国時のセキュリティチェックの為に
遺骨をプラスティックケースに納め、チェックを通過後、
骨壷・箱にそのまま移すように、希望すれば
Funeral HomeやDirect Disposer会社で
こうした準備をしてくれます。
火葬場には、
① 葬儀社やDirect Disposer会社に併設された火葬場、
② 葬儀社やDirect Disposer会社の委託により請け負う火葬場の2つがあります。
葬儀・エンバーミング・埋葬を必要とせず、
火葬・遺骨や遺灰の日本への搬送・それらに伴う書類だけを希望する場合、
葬儀社ではなく、Direct Disposer会社
(死亡診断書等の必要書類を手配したり、火葬を火葬場に委託する会社です)を
利用することも出来ます。
アメリカで埋葬する場合
土葬(Burial): 通常は、葬儀が終わると、
その後すぐに棺を墓地に納めます。
誰でも墓地までついていくことが出来ますが、
遺族がprivate burial(身内のみでの埋葬)を希望される場合もあります。
一般的(教会付属墓地やミリタリーの墓地などを除く)に、
墓地に棺を納める費用は、土地代、棺を設置するための工事費、墓碑代などが必要で、
最低でも$7,000~$12,000はかかるものと考えておいた方がよいでしょう。
墓地以外の埋葬の場合、特別な許可や手続きが必要です。
また、土葬の際、エンバーミングは施行してもしなくても、
どちらでもよいそうです。
火葬(Cremation):
遺灰(遺骨)の安置場所は特に決まりはありません。
霊園の納骨堂や散骨庭園などの専用のスペースに安置する以外に、
自宅などで保管することもあるそうです。
そのためか、様々なデザインや形状の骨壷が販売されています。
なお、専用スペース以外の散骨は、
州などにより法律が異なりますので確認が必要です。
海葬:
遺灰を海にまく方法は割と知られていますが、
棺ごと海に葬ることもあるそうです。
一般の葬儀社で請け負ってくれるはずです。
新聞の訃報記事(Obituary)
日本では誰もが
新聞の訃報欄に記事を載せるわけではありませんが、
アメリカではほとんどの遺族が掲載を依頼するようです。
訃報だけでなく、故人の略歴、葬儀の日時や場所、
寄付金のあて先、遺族・親類の氏名などが掲載されますので、
葬儀を出す側が多くの人に
一々連絡しなくてもよい仕組みになっています。
掲載にかかる費用は$200~300程度。
直接新聞社に依頼するか、
葬儀社やDirect Disposer会社を介して依頼します。
供花、寄付金について
アメリカには参列者が
お香典やお花料を持ち寄る習慣はありませんが、
お供えのお花を葬儀社に届けることがあります。
また、お花の代わりとして、
故人や遺族の希望する団体などに
寄付金を送ることもあります。
送り先は、最期を過ごしたホスピスだったり、
かかっていた病気の研究施設だったり、
出身校だったりと様々です。
Viewingについて
費用は葬儀社によってかなり開きがあります。
( )内の金額はあくまで参考価格です。
● Identification Viewing:
日本だと安置所でご遺体に会うのと同じようなもので、
遺族やごく身近な人など限られた人のみが面会します。
($400位〜)
● Viewing :
日本のお通夜や前夜祭にあたるもので、
誰でも参列できます。
($2,500位〜。サービスの内容による)
また、葬儀やメモリアルサービスの際に
棺を開けてご遺体に面会出来ることもあります。
大勢の方が集まるViewingの際は、
最終的に火葬する場合でも
embalming(別料金)を施すことが多いそうです。
● Witness Cremation:
火葬に立ち会うこと。
ご遺族やごく近しい限られた方が立ち会います。
($300位〜)
★ いずれも葬儀社のみが
これらのサービスを提供できます。
Direct Disposer会社も法律的に禁止されていないのですが、
現時点では出来ないと考えたほうが良さそうです。
アメリカ国籍の場合
故人がアメリカ国籍を取得しても、
日本の戸籍が残っている場合は、
遺族がアメリカ大使館に故人の帰化証明書を発行して貰い、
それを最寄りの区役所に提出し、
国籍喪失届を記入提出。
その際、簡易裁判所にて、5万円の科料が科せられます
(戸籍法の届出懈怠)。
遺族が支払義務があるそうですが、
理由によっては免除される事もあるそうです。
海外在住者が日本の身内に不幸があった場合
航空券割引運賃(ビリーブメント運賃)が
受けられる場合があります。
日系の航空会社(ANA, JALなど)は扱っていません。
デルタ航空、エアカナダ、ルフトハンザ、
ウエストジェット(2021年6月現在)は取り扱っています。
詳細は下記のサイトをご覧ください。
https://kuronekokomachi.com/bereavement/
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一人暮らしでも或いはご家族と一緒の場合でも、
万が一私達に何かあった時に、
日本の家族とのコミュニケーションがスムーズに行けるよう、
お近くに住む日本人の友人、
或いは電話やメールで交信できる日本人の友人を
日本のご家族に知らせておくのは
とても大事な事だと思います。
Ending Noteを作り、
友人情報も明記しておくのも良い方法です。
こうした準備が最悪のことを防げる可能性もありますし、
パニックになりがちな万が一の場合に
役立つに違いありません。
ページ担当:ハインズのり子