2005年[平成17年]10月1日に日米社会保障協定が発効となりました。これは1)日本とアメリカの両国の年金・医療保険制度への2重加入を防止、2)両国の年金加入期間を通算しし年金保険料の掛け捨てを防止する特徴があります。この協定について、社会保険庁のホームページから抜粋した内容を3回に渡って掲載します。年金は一人一人ケースが違いますから、概略を把握の上、関係官庁へお問い合わせ下さい。(ちなみに、協定は日英、日独、日韓の間で夫々発効されました。この記事は日米間老齢年金のみの内容です。)
1)年金・医療保険制度への二重加入の防止
☆ 基本的な考え方
*日本の事業所に勤務する人などが、アメリカ支店や駐在員事務所などに派遣される場合、両国の社会保障制度(年金・医療保険制度)に二重に加入しなければならないことがありましたが、協定により、いずれか一方の社会保障制度のみに加入する。
*協定の対象者は、原則として、その人が就労している国の社会保障制度のみに加入。但し、派遣が事業所から一時的(5年以内の場合)に協定相手国に派遣の場合は、引き続き派遣元の国の社会保障制度のみに加入。例えば、日本の事業所からアメリカに派遣の場合は、原則としてアメリカの社会保障制度のみに加入ですが、期間が5年以内の場合、引き続き日本の社会保障制度のみに加入。
2)年金加入期間通算
☆基本的な考え方:
一方の国の年金制度の加入期間のみでは、受給資格を満たさない場合に、他方の国の年金制度の加入期間を一方の国の加入期間とみなし、受給資格期間に通算することにより、年金を受けられるようにするもの。 年金加入期間の通算とは、両国の年金加入期間をまとめて一方の国から年金を受けるという仕組みではなく、それぞれの国で年金受給権を得るための期間要件を判断する場合に相手国の年金加入期間を通算するという仕組みです。したがって、年金を受けるときには、日米両国の年金制度に加入した期間に応じた年金を、それぞれの国から受けることになります。(条件として、この取扱いを受ける為には、最低でも1年6ヶ月(6クレジット)以上のアメリカの年金加入期間が必要)
例:日本の年金加入期間21年、アメリカのSSN加入期間4年の場合
協定発効前:
日本の年金加入期間は日本の老齢年金の期間要件(25年)も、アメリカの老齢年金の期間要件(10年)を満たさないので、日本、アメリカいずれの老齢年金も受給できないい。
協定発効後:
日本の年金加入期間(21年)は日本の老齢年金期間要件(25年)を満たさないが、アメリカの年金加入期間を通産すると25年以上になるので、日本の老齢年金を受給できる。一方、アメリカの年金加入期間(4年)はアメリカの老齢年金の期間要件を満たさないが、日本の年金加入期間を通産すると10年以上になるのでアメリカの老齢年金を受給できる。
但し、日米両国の年金制度に2重加入していた期間は2重に通産されることはありません。
2重加入の例:日本の年金加入期間21年(その内の3年はアメリカのSSNにも加入で2重)、アメリカのSSN加入期間4年(その内の3年は日本と2重)
この場合、日本の年金加入期間は21年+1年で22年となり、日本の老齢年金受給要件に達しません。アメリカの老齢年金の期間要件(10年)は満たすので、アメリカの年金は受給できる。
○年金加入期間の通算による年金額:
協定に基づいて、アメリカの年金加入期間を通算して期間要件等を満たした年金については、日本の年金制度の保険料を納めた実績に応じた年金額。詳しいことは次号に掲載いたします。