2024年4月 特集 – 送り人 in America Part 2

2010年11月号で
「送り人 in Americaのタイトル」で掲載させて頂いた情報を、
新しい情報を多少加えて2回に渡って掲載させて頂きます。

数か月前に起きた思いもかけない悲しい出来事で、
改めてこうした情報の必要性を痛感しました。

ある日突然に、老若男女年齢関係なく、
思っても見ない事が起こり得ます。

そんな非常の時に、
以前から知っておけば良かったと思ったことをまとめてみました。

特に、私達の場合は、
日本とアメリカの2国に家族を持ち、
それぞれの文化、風習、手続き、言葉の違いゆえ
家族間の意志の疎通が難しい問題もあります。

そんな時、万が一の時のことを、
多少でも予備知識を持ち、
何らかので心つもりをしておくことがとても大事ではないかと考えました。

色々アドバイスをくださった由香さん有難うございます。
(以下の内容はフロリダ州の情報で、州によって手続き方法や法律が異なります。)

* * * * * *

アメリカでの送り人セレモニー

原則的にはどこのFuneral Homeも宗派を問いませんし、
遺族の方の意向に沿うよう動いてくれます。
どのような形にしたいか家族の方次第です。

私自身、義両親を始めアメリカでの色々なお葬式に参列しましたが、
アルバム、DVDの映写、好きだった詩や音楽の奏べ、
熱中していた趣味などの展示や、多くの方々の思い出のスピーチなどで、
故人の素晴らしさとその人生の彩りを偲び、
冥福を祈るといったセレモニーが記憶に残りました。

アメリカで日本人が亡くなり、
遺体・遺灰を日本へ搬送の場合
取り寄せなければならない書類

Death Certificate

Funeral HomeやDirect Disposer会社を介して請求できます。

普通は10日間(週末や休日を含まない)位で届きますが、
火葬の場合、医師が必要事項を記入、署名した書類を
郡のmedical examinerが承認せねばならず、さらに日数を要します。

尚、この承認が下りるまで火葬することはできません。

日本にご遺灰やご遺体を移送する時だけでなく、
銀行口座の閉鎖、保険請求などの際にも死亡診断書は必須です。
8~10通位請求するご遺族が多いようですが、
最近はデジタル化が進み、
オリジナルの用紙(Certified copy of Death Certification)は返却されることが増え、
以前よりも少なくて済むようになってきているそうです。

Death Certificateには、
死因が記載されるLong Formと、
個人情報保護のために死因が記載されないShort Formがあり、
Long Formは生命保険会社など
死因を知る必要のある機関への提出の際に使われ、
その他、銀行、クレジットカード会社などへはShort Formを提出します。

オリジナルはカウンティのHealth Departmentで発行され、
1通につき発行手数料が$10前後(カウンティによって違います)だそうです。

尚、日本での死亡届提出には、
この書類とその和訳が必要です。

さらなるDeath Certificateが必要になった場合は、
Funeral HomeやDirect Disposer会社を介さず、
直接Health Departmentに行って発行してもらいます。

Long Formは家族であるという証明
(写真つきのID、運転免許証、パスポート、Military Identificationなど)が必要ですが、
Short Formは18歳以上の人なら誰でも請求することが出来ます。

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火葬の場合

その地区担当の総領事館に連絡して、
納骨証明書の必要性の是非を確認すること。

以前はこの証明書が帰国の際の出国手続き、
セキュリティチェックで必要でしたが、今は必要ないそうです。

但し、ルールはよく変わりますので、念の為。

火葬の場合は、ご家族の方が機内に持ち込んで運ぶそうです。

日本への入国の際の必要書類は領事館に連絡して、
何が必要かを 和訳も含めて確認しておくことも大事です。

遺骨・遺灰をアメリカから日本へ郵送することは可能か?

遺灰の郵送は、アメリカ国内ではよく行われています。

取扱いはUSPSのみで、
UPSやFedExでは取扱いを拒否されます。

USPSを使ってアメリカ国外へ送れるかどうかは
郵送先の国が遺灰の受取りを禁止しているかどうかの確認が必要ですが、
たとえ可能だとしても紛失や損失の危険を考えると
利用はとどまった方がよいでしょう。

因みに、日本でもゆうパックで国内郵送することが出来ますが、
クロネコヤマトや佐川急便では
「遺骨・位牌・仏壇」の宅急・ 宅配は扱っていません。

遺体を搬送の場合

日本への手配、手続きは、全て葬儀会社がやってくれますが、
10日ほどかかることもあるそうです。

航空会社によっても違いますが、
搬送費用は少なく見積もっても
15,000~20,000ドルはかかるのではないかとのことです。

但し、旅行保険などに加入していた場合は
その際のreasonable and necessary expenseを
負担してくれる場合も有り得るそうです。

遺体を搬送する場合、
遺体の状態を保ち、安全に搬送するために、
エンバーミング(Embalming:遺体衛生保全)を施す必要があります。
この処置は葬儀社で行ってもらえます。費用は$750程度です。

アメリカではかなりの割合で施されるエンバーミングですが、
日本ではまだあまり馴染みがないかもしれません。

ライセンスを持つ技術者(エンバーマー)が、
生前の写真などをもとに、
「防腐」「殺菌」 「修復」「美粧」の処置を施し、
元気だった頃の姿に近付けます。

薬品を注入・塗布して、遺体を長期にわたり良好な状態に保ち、
他の人への感染症などの危険を防ぐことも出来ます
(生前の疾患や遺体の状態によっては、
エンバーミングを施行することが出来ない場合もあります)。

エンバーミングにより、
遠く離れたアメリカから日本への搬送が 可能となり、
日本の家族や友人もゆっくりとお別れすることが出来、
母国で荼毘に付すことが出来るわけです。

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この記事は来月号に続きます

ページ担当:ハインズのり子

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