特集:蚕ワークショップのご報告

10月号でお知らせしました蚕ワークショップに15名の皆さんが参加なさいました。まず最初に、このワークショップを主催なさった永果フェリーペさんの御紹介をさせて頂きます。

彼女は大学、大学院と蚕を専門に研究なさったスペシャリストで、これまで、何度もウガンダやウズベキスタンなどで養蚕の指導をなさっていらっしゃいます。天の虫と書いて蚕と読むように、まさに蚕は天から与えられた宝だと語る永果さんの蚕に寄せる愛情は並々ならぬものがあります。

東日本大震災支援活動の際も、お手元にあるシルクを使い膨大な数のシルクネックレス、スカーフを編んで下さいました。細いシルクの糸を使って編む作業は、一枚編むのに何時間もかかり、大変な時間を費やしてくださり、それが「私にできる鎮魂と復興の祈りの作業」との真摯なコメントにとても心を打たれ、キーライムでも紹介させて頂きました。

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そんな永果さんとのお付き合いは15年以上になりますのに、数年前になんと同じ高校(年代は違います)の出身とわかり驚愕。暫く信じられなかった私が「校歌歌える?」と聞きましたら、「3番までいけます!」とのお返事。負けた!と嬉し涙!考えてみれば音智(高校の音楽智識研究会というサークル)出身だった彼女ですし、本物のの音痴の私とは世界が違います。

声楽の才能も素晴らしく、その本格的な美しい歌声にチャリティコンサートで感動された方も多いことでしょう。こんなスケールの大きな優秀な後輩を持って鼻高々の私ですが、残念ながら体調不良でワークショップには参加できませんでした。参加なさった方々からの説明、写真などでその様子を紹介させて頂きたいと思います。

ワークショップは永果さんが育てていらっしゃる蚕(餌やりは一日3回、少しでも悪い桑があるとすぐ死んでしまうそうです)の取り扱い方、座繰り(道具は日本の専門の業者作成の骨董品(6070年位前の物)をオークションで購入し、専用の台の代わりにダンベルを重しにしているそうです。)手作りの作業台を使って真綿の作り方も教えてくださいましたし、他にはアルパカの糸紬も紹介してくださいました。繭クラフトも色々できそうですね

真綿の作り方(生糸に使えない品質の繭を使うそう)

1、水の入ったバケツの中での蚕と不純物を取り除き、少し引き伸ばす。

2、水から出して更にビヨーンと引っ張りながら、その角を4隅の釘に引っ掛けて四角く均一に張りかける。

3、この工程を45回繰り返して3mm程の厚みになったら乾燥。

参加者のMさんは「本当に細かい手作業と工程の長さで、真綿布団が高級布団な訳が分かりました。」とのコメントを。ちなみにアフリカの養蚕業につきましては、「アフリカの人達は素直でとても働き者で、その素直さを作業に生かして、丁寧な仕事ができ、養蚕がとても向いている。」のだそうです。その感じを思い出すと、とても切ないお気持ちになる由。今でも永果さんの指導を受けた皆さんが頑張って下さっていて欲しいですね。地味で一つ一つ大変な根気のいる作業を実際に見学して、参加者の皆さんは驚いたと聞きます。何でも簡素化し、AIが活躍する未来が予想される昨今ですが、人手をかけて一つ一つ作り上げてきたこうした作業を大切にしていくことも未来にとって大事なことではないでしょうか?そして永果さん、参加者の皆さんは、生みたての卵(養鶏もしていらっしゃいます)もとても喜んでいらっしゃいました。有難うございました!

 

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