クレジットカードの詐欺事件が相次ぎ起こり、
詐欺の的となった消費者は勿論のこと、
被害者対応や詐欺にあったお金の
穴埋めに奔走するクレジット会社も、
多大な(経済面&営業面での)被害を受けたことから、
EMVカード と呼ばれる Security チップ付きの
クレジットカードが、
世界的に採用される方向に進んでいます。
そこで、今月号では、この新規型クレジットカードの
FAQ (Frequently Asked Questions)の問答を
リストアップさせていただきます。
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Q: EMV って何?
A: EMV は、Europay MasterCard and Visa の略です
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Q: EMV カードは、なぜ今までのカードより安全性が高いの?
A: 今来クレジットカードに付いている
磁気 Strip に 編入されている
個々のクレジットカードの機密データ
(#、有効期限月、3桁・4桁のCVVコード#)は、
毎回カードを使うたびに同じだったので、
一度盗まれたデータをブラックマーケットで売られたりしましたが、
EMV カードのチップは、毎回使用する都度、
それ一度きりのユニークな
セキュリティコードを作りだしてくれます。
インターネットのハッカー達は、
EMV カードの機密データも盗むことは出来ますが、
盗んだデータは「それっきり」の物なので、
そのデータを使って物を買おうとしても、
データが認証されないので使いものになりません。
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Q: どうやって EMV カード を使うの?
A: 今来の Strip クレジットカードと違って、
EMV カードは、カードリーダー機械(下の写真)の
下方にあるスロットに
かっちりと 差し込んで、データの読込みが完了するまで、
カードは差しこんだままにするのが特徴です。
Q: EMVカードの発行後に起きた詐欺の負債は誰の責任?
A: 従来の Strip クレジットカードの場合、
盗難・偽造などの詐欺による
Transaction (売買契約)の負債責任は、
Payment Processor (支払い処理者=小売店、等) か
Issuing Bank (クレジット発行銀行)にありましたが、
2015年10月1日を境いに、
クレジットカードに関する詐欺は、
EMV カードに最も迎合していない当事者の責任となりました。
例: EMV カード Reader が設置されていないお店で、
EMV カードを使って買物した消費者の
クレジットカード機密データが
詐欺によって奪われた場合は、
負債返済責任は お店にあります。
なお、ガソリンスタンドのガスポンプでの
クレジットカードリーダーの EMV へのアップデート期限は
2017年だそうです。
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Q: 2015年10月1日のに EMV条約が提携したあと、
EMV 技術へのアップデートは、完了したの?
A: Not exactly. Walgreens 等のスーパーストアや、
ヘアサロン等の Mom & Pop ストアのレジで、
EMV 対応のクレジットカード Reader が設置されているのに、
カードを挿入するスロットにテープが貼ってあって
そのテープの上にマーカーで ”We are not ready yet” と
手書きメッセージがあるのを見かけた方もおられると思いますが、
小売店の会計システムを EMV 対応のものにアップデートするのは、
お金も時間もエネルギーも費やす事なので、
ほぼ完璧に EMV Compliant になるのは
2017年以降と予想されます。
なお、チップ付きクレジットカードの発行は、
クレジットカードがほぼ90%発行完了な反面、
Debit カードは2015年末の時点で、25%の発行率だそうです。
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Q: EMVカード Reader が設備されていない小売店で、
EMV カードを使って買物が出来るの?
A: 現在発行されている EMV カードには、
従来の磁気 Strip も併備されているので、
そうした小売店でも不備なく買物が出来ます。
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Q: Square のようなポータブル支払い読込み機の場合は?A: Square 等のポータブル決済機も、
EMV Compliant の新機アップグレードが進んでいます。
現在のところ、
Android と iOS に対応するEMV 対応機の予約注文を、
1機49ドルで受付中だそうです。
ファーマーズマーケット等のベンダーで活用されている
Square Reader (商品決済機) の会社が出している
EMV カードの説明サイトで、簡潔な同カードの説明が見れます。
https://squareup.com/jp/emv
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A: Yes and No.
アメリカは全世界の経済大国の中でも、
EMV カードへの変遷が一番遅い国だったので、
磁気 Strip クレジットカードを使って
海外で支払いをしようとしたら、
EMVカード以外は対応出来ないと、
拒否された人も少なからずでしょう。
また、他国ほとんどの場合、
Chip-and-PIN カード(チップ付き+PIN入力)が標準なので、
Chip-and-Signature(チップ付き、PIN 無しで署名のみ)の
カードによる支払いを拒否する小売店も少なからずだそうです。
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文末に特記したいポイント ・・・
オンライン支払いの場合、
EMVカードの詐欺防止効用はありません。
詐欺防止は、
EMV チップReaderを使った支払いの場合に限ります。
今後もクレジットカード Hacker は頭脳を駆使して、
新しい詐欺手法を考案するでしょうが、
少しでも防御パワーが増して嬉しいですね。
参考文献