2023年1月号特集: 永住権放棄時の税務申告形態に注意

永住権を放棄の年は、
ご夫婦で夫婦合算申告を使うことはできません。
これは多くの人が知らない事実です。
この点について、今回は解説します。

Mr. Fujimoto.pngクロスボーダーライフをサポートする

夫婦合算申告を米国では
Married Filing Joint(通称MFJ)と呼びます。
米国で使える様々な申告形態のなかで、
一番税率が優遇されているのがこのMFJです。

日本と同じように累進税率が使用されている米国では、
Bracket(税率区分/課税区分)があります。
このBracketごとに課税される税率が異なり、
Bracketの金額が高くなれば、
なるほど税率が上がります。

現在、1番高い税率区分に対する税率は
37%になっています。
このBracketの金額がすべての税率区分で
夫婦合算申告が一番高くなっているのです。

つまり、逆の言い方をしますと、
MFJ申告では税率が低いBracketの
金額の幅が非常に高いので、
全体的な税率が低くなります。

例えば夫婦合算ですと、
約$81,000~$172,000までの所得の
税率区分は22%の課税です。
夫婦個別申告の場合は、
半額の約$49,500~$86,000の部分しか
22%の税率が使えないのです。

これ以上の所得はさらに高い税率がかかる、
つまり別のBracketになってしまうのです。

別のケースで考えましょう。

夫婦で、共働きではなく、
片方だけに所得があり、
夫婦合計で課税所得が$150,000だったと仮定します。

この夫婦が夫婦合算で申告した場合の連邦税額と、
夫婦個別申告をそれぞれがした場合の連邦税額では、
約$5,500の差が出ます。

所得がない配偶者はもちろん税金はないのですが、
$150,000に対しての税額のかかり方が違うので、
差が出るのです。

そのため米国では夫婦は、
ほとんどの人が夫婦合算申告を選択して、申告をしています。

しかし、永住権の放棄の年は、
この夫婦合算申告が使えないのを知らない人が多いのです。

この記事を書くにあたり、
筆者も「何故永住権の放棄の際に
夫婦合算申告が使用できないか?」について考えてみました。

その答えは、
Form 8854で個人の資産をIRSに報告しないと

いけないからだと思います。

この理由は違っているかもしれませんが、
大切なのは、ルールにどのように対応するかです。
(本当の理由を知っている人は、ぜひ教えてください。)

この制約の実務的な影響を考えてみましょう。

第一に帰国の年は、おおむね連邦税は、
MFJ時より、多めに課税されるということです。
昨年度と同じであろうと高をくくっていると
申告時に痛い目にあうかもしれません。
注意しましょう。

第二に、予定納税などでの事前の支払いが足りなくなり、
申告時に想定外の高額な税金を
支払ないといけない場合が生じます。

この二つの影響を考えた場合は、
解決策は、事前にプロフェッショナルに頼んで、
税額のシミュレーションをしてもらうです。

筆者は駐在員の方でも、
永住者の方でも
帰国時の高額な税金に対して驚かれて、
落胆される方を数多く見てきました。

一番の対策は税額の予想を立てること以外はありません。

* * *

藤本さん.png
CDHでは
米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、
これらの人たちの様々な問題点、疑問点を解決、
説明すべく日々努力しております。

またこれらの人達が抱える問題は日米の税法を始め、
移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど
複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制を
できるだけ簡単にポイントだけを
理解してもらう目的でお伝えしています。

従って例外もたくさんあります。

実際にアクションを取る場合は、
必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

なおYouTubeでも内容を説明しています。
「CDHクロスボーダーファミリーチャンネル」で
検索してみてください。

この記事に関して質問がある方、歓迎します。
こちらのフォームでお問合せ下さい。
https://forms.office.com/r/dgKCg461xy 

また週日夜11時、週末も
数時間ほど35分の無料相談も行っています。こ
ちらのリンクからご予約ください。
メールでのご質問は、
面会させていただいてお答えしております。
https://outlook.office365.com/owa/calendar/Bookings@cdhcpa.com/bookings/

CDHのリソースは、
https://www.cdhcpa.com/ja/personal-tax/のページで
すべてアクセスできます。

YouTube、FaceBook、無料のオンラインでのコンサルテーション、
遺産、永住権の放棄、出国税、Form 1040、
税金シミュレーション、海外資産報告などの
分野ごとのオンライン質問フォーム、
月次のニュースレターのサインアップなどがございます。

ぜひお気軽にご利用ください。

またCDHの情報満載ニュースレターのご購読を希望の方はhttps://www.cdhcpa.com/login/からお申込みください。

最後にクロスボーダーチームのメンバーを募集しております。
個人の税務申告が作れる人が特に必要ですので、
ぜひ私までご連絡下さい。
crossborder@cdhcpa.com


ご投稿: 藤本光Koh様
タイトルとURLをコピーしました