2022年6月号 特集: 永住権放棄時の金融機関の選択方法

クロスボーダーライフをサポートする

日本にお帰りの際に、「どの金融機関の口座を残そうか?」、
あるいは「新しく口座を開いたおほうが良いのだろうか?」
そんなことをお考えになる方も多いでしょう。

銀行口座や、年金関連の口座、
そして自身の投資口座などの口座です。

今回は、この点について、
チェック項目と注意点という観点から考えてみました。
チェック項目が3点、注意点を2点挙げてみます。
藤本さん6月号.png
本来私は会計士ですので、
ファイナンシャルアドバイザーの方や、
金融機関にお務めの方のほうが、
専門であるのを承知しつつ、
あくまで私どものクライアントの経験を考慮して、
素人としての意見を書かさせていただきます。

少しでもご参考になれば幸いです。

3つのチェック項目

1) 永住権放棄後に口座の維持が可能なのか?

これは大変重要な問題です。

日本に帰国されて、永住権の放棄の手続きを完了後、
ほとんどの方は、W-8BENというフォームで
金融機関に正式に米国の非居住者になったことを通知します。

その際に、
「うちでは非居住者の口座を維持することはできません」と
言われてしまったら手遅れです。

もうあなたは帰国されており、
新しい金融機関を探して、
口座を移動することは、ほとんど不可能です。

この注意点は、最大の重要ポイントとして、
日本に帰国前に必ずしっかりと確認したいものです。

Eメールなど記録の残る形を取りながらしっかり記録しましょう。

2) 日本からオンラインで操作可能?

こちらも同様に重要な問題です。

窓口に行かないとできないのでしたら、
日本に住んで、アメリカに口座を維持する意味がありません。

日本に住みながら
リモートアクセスで操作ができることが大変重要です。

一般的に投資活動などは、できないとお考えください。
可能なのは、引出し、残高照会、送金手続きなどに限られます。

1)と関連して、米国非居住者になった後で、
オンラインでどんな作業ができるのかを、
送金、支払い、現金の受け取り、残高の確認、
口座のクローズまでしっかり確認したいものです。

日本にお戻りの際の便利性を予想してみてください。

3) 国際経験が豊富な金融機関なのか?

地方の金融機関と、
国レベルでビジネスをしている金融機関との差が出てくるのが
この部分ではと思います。

私は地方の小さな金融機関を信用するなと
言っているのではありません。

小さな金融機関や、地方の金融機関にも
良い点は数えきれないくらいあると思います。
しかし国際取引に関して言いますと、
どうしても経験がものを言います。

日本から操作される場合に、
W-8BENも取り扱ったことがない、
為替レート関連もよくわからない、
SWIFTコードと言っても通じないでは困りものです。

では次に注意点の2点について説明します。

2つの注意点

1) 担当者と会社ポリシーの変更リスクを理解しておく

担当者も会社のポリシーも変更の可能性が常にあることを
頭の隅に入れておくべきです。

人が変わるのは、米国の常です。
さらに会社が買収されたり、
米国の政府の方針ががらっと変わったり、
数えきれない要因で
自身の口座を取り巻くポリシーが変わることを予想しましょう。

変更がないと保障してくれる金融機関を選ぶことは不可能ですので、
変わった場合、
特に口座が維持できなくなった時点での行動を
考えておくことも重要です。

その意味では、口座を二つ残しておいて、
万が一、ひとつの口座が駄目になっても、
残高を移動するだけで良いようにしておくのも
ひとつの方法だと思います。

2) 自身がリモートで作業が出来なくなったことを想定

誰でも老いを避けることはできません。

65歳以上の6人に一人の割合で認知症になる世界です。
もし自身がいままで何の困難もなく、
ひとりでリモートで口座の操作をしていたのに、
突然できなくなることも想定するべきです。

操作の仕方をメモにしておくなり、
家族信託のような仕組みを作っておくのもひとつの方法です。

システムはどんどんセキュリティが厳しくなりつつ、
進化しているなかで、
日本にいながらその進歩に遅れないようにするのは
大変な努力が必要になります。

この点をぜひ忘れないでいていただきたいと思います。

* * *

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、
これらの人たちの様々な問題点、疑問点を解決、
説明すべく日々努力しております。

またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、
移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど
複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制を
できるだけ簡単に
ポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。

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参考文献

https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-w-i-ben

ご投稿: 藤本光 Koh 様
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