特集:メディケア・アウトラインまとめ(その2) 2011年6月号より続く。

 

 

前回の6月号では、メディケアの概要、受給対象者、メディケアの内訳(パートA,B,C,Dを紹介しました。

 今回は、メディケアの種類(オリジナル・メディケア、メディケア・アドバンテージ、メディギャップ)の選び方について紹介します。

 

参考になるサイト:www.medicare.gov resource locator では、郵便番号、薬剤名などを入力すれば、メディケア関連の保険の一覧(保険の概要、保険料など)が見られます。

 

メディケアの種類

オリジナル・メディケア

・連邦政府が運営しているメディケア。

・パートABをカバー。

・パートBの保険料は、所得に応じて変わる。

2011年では月額115.40ドルが一般的で、上限369.10ドル。

●メディケア・アドバンテージ

・民間医療保険会社に委託されたメディケア。パートCとも呼ばれる。

・先のオリジナル・メディケアのパートABをカバーし、中には、パートDもカバーする保険も有る。

・給付内容で保険料に差が出る。

●パートD

・外来処方箋薬の保険。

・民間のプランから選択する。保険料は、20ドルから100ドル前後。

●メディギャップ

・オリジナル・メディケア加入者に対する任意加入の保険。(注意:メディケア・アドバンテージ加入者は、メディギャップに加入できない)

・民間医療保険会社が運営。パートABcopay, coinsurance, deductibleをカバー。

・最近のメディギャップは、パートDはカバーしない。

・給付内容と加入年齢などで保険料に差が出る。

 

メディケアの選び方

①まず、オリジナル・メディケアか、メディケア・アドバンテージのどちらかを選びます。

~オリジナル・メディケアの長所と短所~

⇒◎:メディケアに加入している医療機関なら、全米どこでも掛かれる。

⇒×:別にパートDにも加入のこと。

 

~メディケア・アドンテージの長所と短所~

⇒パートD付きの保険を選ぶかどうか決める。パートDなしの場合は別に、パートDにも加入。

⇒◎:パートA,B,Dの全てをカバーするall-in-oneの保険を選べば、問い合わせ先や、保険料納付の一本化が可能。

X:民間医療保険なので、プロバイダーの制限などマネージドケア特有の制限が付いている。

ここで注意:少し保険料が高くても、加齢と病気の確率を考慮し、それなりの専門医をカバーしている保険を選ぶことが大切だと思います。

 

②パートD(外来処方箋薬保険)への加入

・オリジナル・メディケアとパートDの無いメディケア・アドバンテージを選んだ場合に、加入する。


③オリジナル・メディケア加入者は、メディギャップにも加入した方がいいの?

  メディギャップの月額保険料は、150ドルから500ドル。これに、パートB(115.40ドル)とパートD(50ドルとする)を加えると、合計315ドルから665ドル。1年間、ほとんど医療機関に掛からなければ、掛け捨てになります。 但し、Issue-Age-Rated Policies<後に説明>を選べば、掛捨て率は減ると思います。

 一方で、1年間に入退院の繰り返しや高額な治療を受けた場合、入院のDeductible2011年は1,132ドル)やパートBの自己負担金などが、カバーされるので、加入価値が出てきます。

 以前は、メディギャップの種類は、アルファベットAからJで区別され、Jに近づくほど保険料が高くなり給付内容も充実していました。 

 現在は、加入年齢で保険料が変わる保険が出始たので、メディギャップに加入するタイミングを考えて保険を選ぶことが重要になってきました。

 

メディギャップの保険料の種類

   <Type of Pricing>

Community Rated Policies: 加入年齢に関係なく、一律の保険料(以前は、すべてこの方式であった)。

Issue-Age-Rated Policies: 購入する年齢に応じた保険料。加入後の保険料は、インフレなどで上がるが、加齢が理由で上がることは無い。

Attained-Age Rated Policies: 購入する年齢に応じた保険料。加入後、加齢と共に保険料も上がっていく。

最後に

 2回の連載で、まだまだ書き切れない内容がありました。詳しくは、メディケアの公式サイトを参考になさってください(www.medicare.gov)。

 公的保険から民間保険に変わりつつあるメディケア。リタイアしてからも保険選びがあるのか、と思うと、ため息が出てしまうのですが、「個人の選択の自由<free choice for individuals>」の国にいる以上、知識をつけて最適なメディケアを選ぶのがアメリカ流なのでしょうか。

 今回の内容が少しでも皆さんのお役に立つことが出れば嬉しいです。

参考、推薦文献http://www.medicare.gov

「病院の内側から見たアメリカの医療システム」

河野 圭子 ()新興医学出版社 ISBN:4880021598

 

以上、河野圭子さんからの寄稿でした。メディケアの改正は年々複雑になり、ついていくのが大変です。今後とも圭子さんに更新の原稿をお願いすることになると思いますが、何かご質問がありましたが、編集部までお寄せください。メルアドは:info@keylimenewsletters.comです。

 

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