2025年1月 特集

離婚を考える前に知っておきたい

フロリダ州の離婚に関する法律

—- パート1

タンパベイエリアで
Family Lawの弁護士をなさっている

ケイト上田さんから、
ご寄稿をいただきました。


まさに弁護士さんならではの情報で勉強になりました。

お忙しい中、
キーライムのために時間をさいて
ご寄稿くださり、
有難うございます。


 * * * * *



結婚や離婚は大きなライフイベントです。

特に結婚生活も長くなると、
いつのまにか夫婦の関係がギクシャクすることもあるようです。

離婚を考え始めたり,
または突然相手から離婚を切り出されたら、
どうやって乗切ればいいのだろうかと不安になりますね。

離婚手続きは長期かつ複雑になる事が多く、
また最終判決が出るまでにかなりのおカネがかかるため、
当事者や子供たちにとってもストレスの多い手続きです。

特に手続きに伴う様々な事柄に準備不足な場合、
それは一層顕著となってしまいます。

離婚するのにおカネがかかる理由は、
ずばり弁護士費用です。

相手と話し合い、財産分与や子供の親権など、
離婚に際して取り決めなければならない事項に、
すんなりと当事者同士で合意できれば、
弁護士に書面化してもらい裁判所にファイルするだけで離婚できるので、
弁護士費用も安く済みます。

ここで、必要最低限の離婚に関するフロリダ州の法律を、
ステップごとにご紹介します。



無過失離婚(No Fault Divorce)

フロリダ州は無過失離婚を認めているため、
当事者は相手方の過失を証明することなく、
和解し難い不和(Irreconcilable Differences)があると婚姻の解消ができます。

ですので、離婚に同意したくない、
もしくは和解し難い不和が生じたのは相手側に非があると反論しても、
離婚そのものを止めることはできません。

ステップ 1

離婚を考える際、
夫婦でマリッジカウンセリングに行くのも一つの方法です。
もちろん法律的なアドヴァイスは、
カウンセラーからはもらえませんが
夫婦間のコミュニケーションの向上という意味ではよいかもしれません。

ステップ2

離婚が避けられないとなると、
裁判官の前での解決を望むのか、
あるいは裁判所外で私的に解決を望むのか相手側と話し合って決めます。

資産/負債がほとんど無く、子どもがいないシンプルなケースでは、
夫婦間で私的に解決し、
記入したフォームを裁判所に提出すれば、
弁護士なしで Simplified Final judgment for dissolution of marriage
という 離婚判決を得ることも可能です。

子供のいる場合でも合意をもとに、
追加のフォームを出すことで
Simplified Final judgmentを得ることもできます。

以下は必要なフォームの一例ですが、
すべてを網羅していませんので、あくまで参考例です。
これらのフォームはwww.flcourts.govからダウンロードできます。

Petition for Simplified Dissolution of Marriage: Form 12.901 (a)
Family law financial affidavit: Form 12.902 (c)
Marital Settlement Agreement for Simplified Dissolution of Marriage(MSA): Form 12.902 (f) (3)
Notice of Social Security number: Form 12.902 (j)
Service forms
Final judgment of simplified dissolution of marriage Form 12.990 (a)
Uniform child custody jurisdiction and enforcement affidavit: Form 902 (d)
Parenting plan: Form 12.995 (a)
Child support guidelines worksheet: Form 12.902 (e)



フォームの記入方法は、
裁判所内のFamily Law Self Help Clinic で無料で教えてもらえます。

Hillsborough countyにお住まいの方の離婚は、
タンパ・ダウンタウンの
13th Judicial Circuit Court (George Edgecomb Courthouse)が管轄権を持ちますので、
Family Forms Clinic に関するお問合わせは、
Family Forms Clinic (800 E. Twiggs Street, Room 210, Tampa, FL 33602)、
電話でのお問合わせは、 813-864-2280, option #2
(recording for information & current walk-in hours) となります。

Pinellas County また Pasco County にお住まいの方は 
6th Judicial Circuit Court の管轄となりますが、
お住まいの地域によってCourt Houseの場所が違いますので、
確認の上 Self Help Center を利用されることをお勧めします。下のサイトから詳細をご覧ください。
https://www.mypinellasclerk.gov/Home/Family



ステップ3

少し複雑なケースでも、
弁護士に間に入ってもらい、
裁判所外で協議を進める事により、
時間、労力、費用などを抑えることができます。

それぞれ別の弁護士を雇うか、
また一人の弁護士に委任し、
双方の代理人になってもらうかの2つの方法がありますが、
一人の弁護士が利益の相反する当事者を Dual Representation することで
倫理的な問題が発生する可能性がありますので注意が必要です。

弁護士を選ぶ際、初回30分まで無料という事務所もありますし、
それにとらわれず 時間とお金が許すなら、
有料でもなるべく多くの弁護士と面談したうえ
受任契約に進むことが適切かと思います。



私見ですが
お互いがそれぞれ別の弁護士を雇うほうが良いと思います。

たとえ最初の面談で受任契約をしなかったとしても、
面談を受けた弁護士は、
同じ案件で相手方と契約ができないというルールがあります。

お勧めしませんが、
それを利用して、
経験豊富で有名な離婚弁護士にかたっぱしから面談し、
相手と契約できないようにした例もあります。

さて、弁護士費用ですが、
この10年ほどで以前の倍近く相場が上がっています。

離婚訴訟を専門にされている経験豊富な方の時間当たりの報酬は
平均して現在500ドル程度ですし、
新規の面談をお願いしても数週間空きがないのが普通です。



交通事故などの案件では
訴訟に勝てば賠償金から弁護士費用を払う
contingency fee契約もありますが、
家族法案件ではそれは禁じられています。

ですので、最初に着手金を払います。

例外として、
一方の配偶者がそれまでに支払った弁護士費用の一部を
相手側に負担してもらいたい場合、
相手にそれを払う能力があることが証明できれば
裁判所を介して、
離婚判決時にaward of attorney’s feeをもらうこともできます。

しかし払う能力があっても払いたくないのが人情というもので、
このaward of attorney’s feeをめぐっても、
判事の前で夫婦間で激しいバトルが展開されることが多いです。

裁判所外での協議がまとまらず、
裁判離婚以外に方法がないとすれば、
まず、どれだけの着手金が用意できるか考えます。

また、弁護士費用だけではなく、
mediatorへの支払いも発生します。

裁判所の専属のmediatorは、private mediatorより安いですが、
私はprivate mediatorをお勧めします。



また 夫や妻が自営業の場合、
勤め人のように資産や収入がガラス張りではないので、
forensic accountant と呼ばれる会計士やCPAに
相手の資産の洗い出しをお願いすることもありますので、
これら別途費用も発生します。

さて、弁護士費用ですが、
弁護士はその案件に必要とした時間に時間あたりの単価をかけて、
毎月請求書を送ります。

私のいた事務所では10分単位で弁護料を計算しており、
朝、PCを立ち上げて、顧客番号をクリックすると、
その案件に関する書類作成に費やした時間が
自動的にカウントされていました。

毎月の請求書〆日には、
それに加え、法廷時間、事務所から法廷への移動時間、
デイポジション、相手側の弁護士とのやりとり、
担当判事や依頼人とのやりとり
すべてに要した時間を合計していました。



法廷時間や移動時間はどうしようもないですが、
弁護士と話す際には 
可能な限り自分で離婚に関する法律を調べ、
質問事項を簡潔にまとめたメモを持ち、
弁護士からの回答も詳細にメモしておくと、
時間が短縮されて、ひと月数百ドル程度節約できそうです。

例外もありますが一般的に、
夫婦の共有財産が多ければ多いほど、
夫婦間の収入格差が多ければ多いほど、
また、夫婦の一方に新しい恋人がいる場合などは
裁判が長引くケースが多いので、
弁護士費用が膨れ上がる傾向にあるようです。

最後に、
離婚係争中に起こりがちな
配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス:DV)についてお伝えします。

離婚係争中は夫婦間の口喧嘩がエスカレートし、
暴力沙汰になる場合もあるかと思います。

フロリダ州法741.28は「家庭内暴力」を、
“Any assault, aggravated assault, battery, aggravated battery,
sexual assault, sexual battery, stalking, aggravated stalking,
kidnapping, false imprisonment, or any criminal offense
resulting in physical injury or death of one family or household member
by another family or household member.” と定義しています。



要約すると、
家族間の、身体的傷害または死亡につながる
暴力行為、加重暴行、性的暴行、ストーカー行為、誘拐などがDVに当たります。

注意しておきたいのは、
DVは被害者の身体的傷害の程度に関わらず、
また、加害者と被害者に身体的接触がなくても認めらことです。

なぜなら、暴力行為(Assault)は州法784.011に、
“ intentional, unlawful threat by word or act to do violence
to the person of another,
coupled with an apparent ability to do so,
and doing some act which creates a well-founded fear
in such other person that such violence is imminent.”と規定されています。

加害者の言葉や言動により、
被害者が加害者から暴力を加えられるという恐怖を感じた場合、
それもDVとなります。

安全が懸念される場合や
実際に被害に会ったら躊躇せず、警察に通報し、
Domestic Violence Injunctionを申請することを勧めます。

離婚係争中の夫婦間の争いは子供の心にも深い傷を残します。

また、日本の在外公館では、
DV被害者支援を実施している団体の窓口等の情報提供や、
家族法に詳しい弁護士や通訳・翻訳家の情報を提供しています。

裁判離婚の詳細は次号Part II でご紹介します。

ご投稿:上田ケイトさん

タイトルとURLをコピーしました